よくあるご質問
環境・リサイクルについて
難燃剤として臭素系難燃剤は使用されていますか。
使用されていればダイオキシン問題から他の材料により難燃化は検討されているのでしょうか。
今後、樹脂ノンハロゲン化に基づく難燃化技術はどのような方策で対応すると思われますか?
1.難燃化の要求
ABS樹脂は優れた成形性、成形品外観、機械的特性などを有しているため、その難燃化グレードは複写機やプリンター用途を中心に電気、電子分野での需要が多くみられます。 これら電気、電子分野での難燃化の要請は、火災を防止することを目的に、IEC、UL、JISなどで規定されており、機器の活電部をカバーするエンクロジャー部分への難燃要求レベルもかなり高いものです。
構造自体に塩素を含むため本質的に難燃性であるPVCなどを除きますと、基本的には可燃性物質である熱可塑性樹脂がこれらの規格、規定に対応するためには難燃化技術が必要となります。一般的な熱可塑性樹脂の難燃化については、ハロゲン含有化合物の添加による燃焼反応の抑制(ラジカルトラップメカニズム)が最も有効で、ABS樹脂においても、臭素系難燃剤並びにアンチモン化合物の添加により、UL94 V-0、5VAといった極めて高いレベルの難燃性を付与することができます。
2.ノンハロゲンの要求
昨今の欧州地区における環境問題への意識の高まりから、特に塩素化ダイオキシンに代表される毒性物質を規制するため、塩素だけでなくハロゲンを含有する物質を排除する動きがあります。
塩素以外のハロゲン、例えば臭素による臭素化ダイオキシン、フラン類の生成メカニズムや毒性については十分に証明がなされてはおりませんが、これらノンハロゲン化の動向を受け、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂のノンハロゲン難燃化の要求が急速に強まりました。
3.ノンハロゲン難燃化技術
熱可塑性樹脂のノンハロゲン難燃化技術には、ハロゲン系難燃剤に替わり、金属水酸化物化合物を配合する、リン系難燃剤やシリコン系難燃剤を添加する等の技術が検討されてきました。
ABS樹脂のノンハロゲン化対応としては、ABS樹脂へリン系難燃剤を添加したUL-94 V-2グレードや、PC(ポリカーボネート)とABS樹脂とのポリマーアロイへリン系難燃剤を添加したUL-94 V-0グレードが開発、上市されています。
4.更なる環境問題への対応課題
同じく環境問題への取り組みとして、使用済み材料の回収・リサイクルの要求も出てきていますが、PC/ABSのようなアロイ系ノンハロゲン難燃材料は、臭素系難燃剤による従来の難燃ABSに比べリサイクル性に問題点があるなど、今後更に環境問題への対応が可能な材料の検討が進められているところです。